自分の仕事に成果を求めるやりがい派か、それとも所定時間働けばいいという時間消費派なのかで、労働時間に対する認識は根本的に変わるようだ。そして、その認識の差が労働時間に大きく影響を与えていると私は思う。

1日24時間は、すべての人に平等に与えられているが、時間消費派で、自分は働かされていると思っていれば、時間が過ぎるのは遅く感じられるはずだ。そして、こういう人は公私の区別が曖昧なために、オンとオフの使い分けが苦手であり、時間内に仕事を終らせることができずに、残業ばかりが増える傾向にある。そうなると不満は募り、「自分ばかりが不当に働かされている」という気持ちになってしまい、それが日々の業務態度に現れることも少なくない。

しかし、仕事にやりがいを感じて自発的に働く人は違う。何事にも必ず制限時間を設け、「この仕事は午前中」「これは本日中」というように、適切に優先順位を決め、その通りに行動する。オンとオフの切り替えが早いのもこのタイプの特長だ。人間の集中力はせいぜい90分程度しか続かないというのが定説であり、仕事ができる人はそれを理解した上で、仕事の合間にうまく休憩を取り入れ、気分転換を図りつつリズムよく仕事をこなす。また、「自ら働いている」という意識が働き、時間を有効活用できるように様々な工夫をするため、残業が少ない傾向にある。

労働時間を「生き生きと自発的に働く時間」と捉えられる人は、このように効率よく仕事をこなし、職場で高い評価を受けるのだ。職種や職場によっては、それでも残業が減らない場合もあるが、周囲が就業時間内に仕事を片付けられるのに対して、自分だけが残業をしなければならなくなる場合は、まず労働時間に対する認識を見直してほしい。もしも時間消費派であると感じた場合は、それを改めるだけでも残業が減るかもしれない。